信濃町の伝統野菜
信濃町には、多くの「信州の伝統野菜」で公的に認定された野菜が栽培されています。
伝統野菜は、気候、風土、歴史、資源など地域の特色を活かしながら代々受け継がれてきたもので、自然や故郷など心のゆとりを感じさせるものです。
また、その特徴的な形態や品質とともに、歴史やなぜ今日まで栽培されてきたかというストーリー性が魅力となっています。
そんな信濃町で今でも栽培されている伝統野菜を紹介します。
信州の伝統野菜とは
平成18年に長野県が開始した「信州の伝統野菜認定制度」で定める「来歴、食文化、品種特性」の3つの基準により、長野県が選定した野菜です。
【来歴】
地域の気候風土に育まれ、昭和30年代以前から栽培されている品種であること。
【食文化】
当該品種に関した信州の食文化を支える行事食・郷土食が伝承されていること。
【品種特製】
当該野菜固有の品種特製が明確になっていること。
信濃町の認定伝統野菜
①「ぼたごしょう」 認定番号20-09007
名前の由来は、見た目が丸みを帯びた形状で(ぼたっとした感じ)から「ぼたごしょう」という名がついたという説もあります。
肉厚で果肉は柔らかく、柔らかな辛さの中に甘みも感じられ、夏場の食欲を増進させます。
辛味以外のグルタミン酸や糖度なども高めの品種で、辛味の向こう側の「旨味や甘味」を感じて、とても美味しくいただけます。
加熱することでさらに柔らかくなり、焼いたり、味噌漬、煮物、天ぷらや鉄砲漬等々、様々な料理に利用できます。
また、信濃町の伝統食「やたら」には欠かせない食材です。
信濃町の特産物を使った料理教室~家庭でできるちょっとリッチな洋風メニュー~
信州大学×長野県CATV:信州の伝統野菜【1】ぼたごしょう(信濃町)
信州大学と長野県ケーブルテレビ協議会との共同プロジェクト「信州の伝統野菜を映像で残す」で、ぼたごしょうを取り上げていただきました。
②「黒姫もちもろこし」 認定番号20-09008
「黒姫もちもろこし」は、トウモロコシの一種「フリントコーン」の特性を引き継いだもので、実の長さが15cm程度、輪切りにしたときの粒の列数が8列なのが特徴です。
粒色は黒に近い紫や緑色をしており、白黒や黄色も混在します。
食感は、スイートコーンに比べ 甘味はなく淡白、もちもちしています。
地域のお年寄りのお話では、昭和初期頃には栽培されており、おやつとして食されたり、乾燥した後、粉にして冬場の食材で利用されたりしたそうです。
トウモロコシは、隣接した畑で異なる品種を作付けすると、花粉が混じり合って、キセニアという不良な粒が出来てしまうことから、現在、「黒姫もちもろこし」は僅かな面積で栽培されるのみとなっています。
③「冬ささぎ」
「冬ささぎ」は一般的なささげと比べて、さやが10~30cmで固く、豆は1cm程度の腎臓形で、白・黒・赤褐色・紫色など様々な色の斑紋をもちます。
未成熟期の子実は緑色であり、完熟期は茶色となります。
未成熟期にさやごと煮て食する事もありますが、信濃町では昔から完熟期の乾燥した物を冬季の食料として保存し、必要に応じてさやごと煮込んで食べる事からこの名称がついたものと思われます。
④「からごしょう」
「からごしょう」は同じ信濃町伝統野菜でとうがらし種の「ぼたごしょう」と比べてひとまわり小さい実が付き、肉は薄いですがが、強い辛味が特徴です 。
地域に江戸時代後期から誕生したといわれる越冬漬物「こしょう漬」の元の具の漬け込みなどに利用され、辛さと風味が「こしょう漬」の味を引きたてていました。