人は体を動かすと体の中で熱が生まれます。人の体には体温調節機能が備わっているため、体温が上がり過ぎたときには、自律神経の働きによって末梢の血管が拡がり、皮膚に多くの血液が流れ込むことで熱を体の外に放出します。同時に、体温が上がったら汗をかき、その汗が蒸発するときに体の表面から熱を奪うことで、上がった体温を下げようと働きます。 ところが、あまりに暑い環境や湿度の高い環境に長くいると、体温調節機能が乱れ、体外への熱の放出ができなくなり、体内に熱がこもって体温が上昇します。また、急激に大量の汗をかくと、体内の水分と塩分が失われ、体液のバランスが崩れてしまいます。それが筋肉や血流、神経など体のさまざまな部分に影響をおよぼすと、けいれんやめまい、失神、頭痛、吐き気といった熱中症の症状があらわれます。
熱中症は予防が大切
熱中症は、外出時だけでなく、室内でも多発しています。室外・室内にかかわらず、熱中症を防ぐために次のことに気をつけましょう。
◆熱中症警戒アラート(環境省熱中症予防情報サイト)を活用しましょう
◆温度や湿度に注意しましょう
熱中症になりにくい環境は室温28度未満、湿度は50%未満といわれています。エアコンをしっかり使って快適な環境を保つようにしましょう
エアコンが使えない時は、すだれなどで日差しを和らげ風通しをよくしましょう。また、濡れたタオル等を肌にあてうちわであおぐようにしましょう。
◆こまめに水分を補給する 喉が乾く前に水分・塩分を補給しましょう
◆通気性のよい服を着る 襟元が開いたゆったりしたデザインの服は熱がこもるのを防ぎます。吸汗性、速乾性に優れた素材の服は体温調節に役立ちます。
◆生活リズムを整える 睡眠不足や体調不良、栄養不足は熱中症になるリスクをあげるといわれています。睡眠がしっかりとれるよう就寝時もエアコンを使うなど快適な環境を整えましょう。
◆体力や体調を考慮して不要不急の外出は避けましょう
◆暑さ指数に応じて、外での運動は中止または延期をしましょう
暑さ指数(WBGT)とは
暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)は、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標です。 単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが、その値は気温とは異なります。暑さ指数(WBGT)は人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい (1)湿度、 (2)日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、(3)気温の3つを取り入れた指標です。
熱中症になったときには
熱中症が疑われる症状は
熱中症の危険信号として、以下のような症状が現れます。
- めまい、立ちくらみ
- 生あくび
- 大量の発汗
- 頭痛
- 嘔吐
- 倦怠感
- 意識の障害(応答が異常である、呼びかけに反応がない等)
応急処置
熱中症を疑ったときは、落ち着いて対処しましょう。
- すぐに風通しのいい日陰やクーラーなどが効いている室内など涼しい場所へ移す
- 衣服をゆるめ、首の周り・脇の下・足の付け根ねど体を冷やす
- 冷たい水を与え、たくさん汗をかいた場合は、スポーツドリンクや塩あめなどにより、塩分も補給する(経口補水液)
自分の力で水分の摂取ができない場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。また、呼びかけに応じないなど意識障害が見られる場合は、症状が重くなっているため、すぐに救急車を呼びましょう。